用紙:ホワイトニューVマット 135k
寸法:A4T
色数:4c/4C
製本・加工:2ツ折加工
リクエスト
宮古市の水産加工会社である共和水産様の会社案内のリニューアルの依頼を受けました。
依頼主は専務取締役である鈴木良太さん。「三陸の水産をより良くしたい」という情熱を原動力に、黄金に輝く冠を被った「イカ王子」として、自らが広告塔となり、自社や三陸宮古の水産をPRしてきました。
鈴木さんが「イカ王子」キャラクターでPRするようになって12年がたちます。活動の成果がみのり、最近ではローカルヒーロー的な存在として高い知名度を誇るようになっていました。
その一方で、「共和水産」よりも「イカ王子」の名前がひとり歩きしている現実もあり、「共和水産のイカ王子」として改めて岩手県内に向けて、「三陸の水産への強い思い」を県内向けの会社案内として表現したいというのが鈴木さんの思いでした。
クリエイティブの視点
鈴木さんの「三陸の水産への強い思い」。これを体現しているのが、鈴木さんが作り上げてきたキャラクターである「イカ王子」でした。そこでイカ王子というパーソナリティーを用いて鈴木さんの思いをかたちにするという直球的な表現を目指すことになったわけですが、わたしたちが注目したのが、鈴木さん=イカ王子の話し振りでした。
鈴木さんとお話すると誰もが圧倒されると思います。まるで選挙演説といえばいいか、鈴木さんの言葉はポジティブで直截的、かつエネルギッシュで、何よりくどさ(失礼!)が満載なんです。
今回のグラフィックイメージが「選挙ポスター」や「街頭演説」としたのは、まさにこの鈴木さん話術の特徴をそのまま表現したかったからです。とはいえ、紙の上で情熱的な話し振りを表現することは簡単ではありません。そこで、中面ではイカ王子が話す、思いのこもった言葉を演説風に編集し、キーワードを強調するというデザインにしました。会話の中の抑揚や盛り上がりを視覚的に表現してみたわけです。また、瓶ビールケースに乗った演説中のイカ王子が、今にも飛び出してきそうな写真と共に見せることで、イカ王子の熱いメッセージが読者に直接届くよう工夫しました。
裏表紙の写真も少しやりすぎたかなと思ったりしているのですが、3月末の早朝に日の出の瞬間を狙って撮影しました。夜明けの海に向かって熱弁するイカ王子の姿を通じて、鈴木さんの情熱とユーモアを表現したくて、鈴木さんにご無理をお願いすることになりました。
現在の三陸の水産業は決して良い状態ではありませんが、イカ王子の「三陸の水産を背負って立つリーダー」としての強い覚悟が、多くの方に伝わればいいなと感じています。