リクエスト
一般社団法人宮古観光文化交流協会様では、「食の宮古」としてのブランド強化に継続的に取り組まれています。弊社では一昨年、その一環として「岩手宮古 すしの海と町」ブランディング事業に携わり、宮古の食文化を観光誘客へとつなげるクリエイティブ制作を行いました。
今回ご依頼いただいた「岩手宮古 三陸毛ガニにて招宴仕り候」は、その継続事業として、宮古の冬を代表する味覚である毛ガニをテーマにしたプロモーションです。弊社では、企画立案、取材、撮影、コピーライティング、編集、ポータルサイト・デザイン、SNS広告までを一貫して担当しました。
企画にあたって最初に行ったのは、宮古における毛ガニの現状を見つめ直すことでした。宮古の毛ガニは、本州随一の水揚げを誇りながらも県外に向けた認知度は高いものではなく、まだまだ大きな伸びしろがありました。継続的なPRの不足に加え、観光客が「宮古で毛ガニを味わいたい」と具体的に思える旅行商品づくりが必要であることも見えてきました。
そこで今回は、食のコンテンツとして強い訴求力を持つ「毛ガニ」の産地としての鮮度感、素材感を軸に、宮古の冬の魅力を体験として届けるためのブランディング企画を立ち上げ、プロモーションまでを展開することになりました。
クリエイティブの視点
今回の中心となる制作物は、「岩手宮古 三陸毛ガニにて招宴仕り候」のポータルサイトです。こうしたポータルサイトの制作そのものは、現在の観光PRにおいて決して目新しい手法ではありません。しかし弊社では、単に情報を掲載するだけではなく、サイトの制作過程そのものが新たな観光商品を生み出す仕組みになるよう設計しました。
その核となったのが、市内のホテル・旅館と共同で企画した「宮古毛ガニプラン」キャンペーンです。これは大手OTAに頼りきるのではなく、それぞれの宿泊施設が自分たちの個性を活かした宿泊プランをつくり、直接販売へとつなげていく取り組みです。毛ガニを通じて、宮古という地域と観光客とのエンゲージメントを深めることを目的として立案しました。
弊社では企画段階から市内宿泊施設との連携を重ね、説明会を実施しながら、各施設ならではの魅力を引き出す宿泊プランの創出を目指しました。そのうえで、料理のシズルカットや館内撮影を個別に行い、「三陸毛ガニにて招宴仕り候」というタイトルから想起される、華やかで特別感のあるイメージを積み上げていきました。
また、宮古が毛ガニの産地であることをより立体的に伝えるため、市内の毛ガニ加工業者、鮮魚店、飲食店などへの取材・撮影も行いました。単に「食べられる」「買える」という情報にとどめるのではなく、漁、流通、加工、料理、宿泊という複数の現場を通して、産地としての厚みや奥行きを伝える構成としています。
ポータルサイトの公開に合わせて、SNS広告も戦略的に実施しました。宮古の毛ガニをまだ知らない層へ広く届けるとともに、宿泊プランや飲食店、鮮魚店への導線をつくることで、認知拡大だけでなく具体的な行動につながるプロモーションを目指しました。
今回の案件では、企画内容、写真、コピー、デザインの質を高めるだけでなく、観光商品の創出という具体的な取り組みまで踏み込むことができました。これまで宮古に足を運ぶきっかけがなかった方にも、冬の宮古を訪れる強い理由を提示できる制作になったと感じています。
今後も宮古の観光をより魅力的に伝えるために、地域の資源を丁寧に見つめ、具体的な成果につながるクリエイティブを続けていきたいと考えています。