用紙:上質70k
寸法:A4Y
色数:4c/4c
リクエスト
オーダーメイドによる住宅設計・施工を手掛ける甲斐谷建築企画様が実施した完成見学会用のチラシとなります。
これまでもチラシ制作を通じて甲斐谷建築企画様の完成見学会のお手伝いを続けてきましたが、毎回、見学会で使用される住宅の特徴を明確に打ち出す企画を立ててきました。
今回の住宅のコンセプトは、「若い家族向けのコンパクトな住まい」です。甲斐谷様としては、若年層にターゲットを絞った広告表現で展開してみたいという思いがあるようでした。
なお、チラシの活用としては、これまでと同様に宮古市を中心とした新聞折り込みで展開することになりました。
クリエイティブの視点
チラシ制作にあたり、図面を参照しながら甲斐谷様からのヒアリングを実施し、その後、建築中の現場を確認させていただきました。その情報をもとに、住宅の外観を紙面の中心に置き、フキダシで家の特徴を紹介するというグラフィックで展開することが決まりました。外壁にガルバリウムを使い、軒のないシャープなファサード(外観)は、「若い家族の住まい」を象徴するものと捉えることができたからでした。
このようにわたしたちのクリエイティブの現場では、集めた情報をもとに企画を詰めていくわけですが、その段階で大事にしていることがいくつかあります。それは、専門的な知識を土台にしながらも、クライアントが持っている世界観や魅力をできるだけ平易でわかりやすく言語化することです。
たとえば、先進的な高性能住宅を設計・施工する甲斐谷様の場合であっても、「夏涼しく冬暖かい高性能住宅」といった、より具体的な印象を伝える言葉で表現した方が、多くの人に伝わりやすいと感じます。また、専門的な知識や情報を脇に置いて、クライアントが持っている魅力や特徴を捉えていくことも重要です。たとえば住宅を建てようとする人のなかで、性能、つまりスペックで家の良し悪しを測る人はそれほど多くはありません。数字的な内容よりも、家族ひとりひとりが楽しく暮らせる家が欲しいといった情緒的な部分に重きを置いている人の方が多いと感じます。だからこそ、専門的な情報を柔らかで情緒に訴えかける表現に翻訳することが広告表現では大切な部分だと感じます。こうしたバランスの取り方は、住宅広告に限ったことではなく、クリエイティブ表現の基本のひとつだと考えられます。今回のチラシでも若者層への訴えかけとして、クールな印象を持つ外観を表現の中心に置き、そのうえで専門用語をできるだけ避けた柔らかな言葉で、住宅の特徴を伝えました。また、アピアランスの狙いとしては、住宅を切り抜き、イラストの背景と組み合わせることで、ポップで軽やかな印象を生み出す仕掛けを施しました。
裏面については、甲斐谷様がこれまで設計・施工された実例集を活用し、4つの住宅の魅力をご紹介しました。甲斐谷建築様は、「高性能住宅」という基本設計をもとに、クライアントのさまざまなご要望をかたちにするスキルを持った地域工務店です。まったくタイプの違う4つの住宅をダイジェスト的に紹介することで、甲斐谷建築様の家づくりの引き出しの多さを感じてもらえる紙面になっています。
宮古市における新築棟数は年々下がり続けているのが現状です。だからこそ、甲斐谷建築様のような地域工務店の誠実なお仕事を、クリエイティブの力を使って少しでもお手伝いしたいと願っています。