宮古観光文化交流協会様
岩手宮古すしの海と町


リクエスト

宮古市の観光産業における大きな課題の一つとして挙げられるのが、観光客来訪の繁閑差が大きいことです。

一般社団法人宮古観光文化交流協会様では、閑散期対策として「食の宮古」としてのブランド強化に取り組まれていました。

その中で、特に力を入れていこうとされていたのは、宮古の新鮮な魚介を用いた「寿司」の魅力を発信する施策です。

宮古市には10店舗の寿司店があり、大手グルメサイトにおける岩手県内人気寿司店ランキングではトップ5に数店舗ランキングされるほど、消費者の評価は高いとのことでした。一方で、「宮古の寿司」としてプロモーションを行う機会は少なく、せっかくの競争力を活かしきれていないのが現状とのことでした。

そこでアイデアとして提示されたのが、複数の寿司店をハシゴする「ハシゴずし」と、参加店舗が1ヶ月間限定で特別なメニューを提供する「すし月間」という2つのイベントでした。

食のコンテンツとして付加価値が高く、エリアでの競争力も高い「寿司」をテーマとし、観光客誘客の玄関口として機能すること、また観光消費額を増加させることを目的とした、イベント企画の具体化からプロモーションまでをご依頼いただきました。

 

クリエイティブの視点

浄土ヶ浜をはじめとする景勝地、ウニやワカメなどの海産物。「宮古」を知っている人は案外多いのかもしれません。しかし実際訪れるとなると、そこにはやはり距離や移動の壁があり、なかなか気軽に…とは言えない場所であることも事実です。県外の人であればなおさらそうだと言えます。たくさんの人に来てほしいと願っても、表面的なプロモーションでは足を運んでもらう理由にはなりづらいものです。そうした実感があるなかで、今回のクリエイティブの方向性として、宮古のすしの世界観を紐解くように、網羅的に伝えるという制作の軸をチームで共有しました。これにより、イベントのプロモーションがはじめて活きてくると考えたのです。世界観というかたちのないものを伝えるにあたっては、弊社の強みである写真や映像での表現を存分に活かすことができるWebサイトを中心に、制作を進めることが決定しました。

その世界観を伝えるWebサイトのタイトルは、「岩手宮古 すしの海と町」。各すし店やすし職人、漁協の方への取材と撮影を通し、宮古のすしの背景や歴史を探りながら、宮古ならではのすしの魅力をかたちにするべく、制作が動き出しました。

取材を兼ねた撮影では、市内のすし店8店舗にお邪魔し、その店の一押しの一皿、一品料理、一貫を撮影させていただきました。職人の手仕事の鮮やかさに見惚れながら、宮古ですし屋を営むことの意味や良さ、ネタへのこだわりなどを詳しく聞かせていただきました。また、宮古のすしの背景を伝えるにあたり、明け方から入港してくる船を待って、魚市場の撮影を行いました。水揚げされた魚を次々と仕分ける漁協職員の手際の良さに呆気に取られながら、ここからもうすでに、すしがはじまっているのではないかという気持ちにすらなりました。

さて、宮古のすしの世界とはいったいどのようなものだったか。それは一言で表すならば「多彩」な世界でした。すしという極めてシンプルな料理において、味の引き出し方や活かし方、一貫や一品としての見せ方は千差万別。店のスタイルや雰囲気にもそれぞれの良さがあり、職人の佇まいにもその職人だけの魅力がありました。一つの海からはじまっていながらも、驚くほど多彩な「宮古のすし」の世界が広がっていると実感した取材・撮影となりました。

Webサイトのはじまりは、宮古のすしの世界の幕開けをイメージしたアートワークです。金色の雲が流れ、群れをなして泳ぐ魚の奥には、漁船が行き交う宮古湾や町並み、山々が広がります。Webサイトを訪れる人を歓迎し、ちょっと寄ってみてと誘い込むような、そんなイメージで作成しました。アートワークが切り替わると、宮古のすしの世界をリアルに立ち上がらせるべく映像が展開されます。明け方の港に船が入るシーンからはじまり、水揚げされた新鮮な魚が市場から職人の手へ、そして一皿の握りとして供されるまでを、粛々と見せていきます。Webサイトの玄関口は、取材や撮影で見たものや感じたことを素材とし、宮古の多彩なすし風景を一望するような展開に整えていきました。

また、本編は、宮古のすしの背景を伝える「宮古のすしとは」にはじまり、すし職人の人生をモノローグで表現した「宮古のすし職人」、市内すし店を瑞々しい写真と小気味良い文章で伝える「店舗紹介」まで、充実のコンテンツで構成しました。

さらに、イベント企画の具体化からプロモーションまでをリクエストされていた「ハシゴずし」と「すし月間」においては、Webサイト内にLP(ランディングページ)としてイベント情報を伝えるページを作成しました。SNS広告でのアプローチも積極的に行った効果もあり、「ハシゴずし」は2日間開催の両日ともに満員御礼。県外からのお客様にも多くご参加いただきました。「すし月間」においても、市内外からたくさんのお客様が訪れ、宮古が誇る旬のネタに喜んでいただきました。Webサイトのアートワークを用いた特製ののぼりは、イベント当日の目印となっただけでなく、宮古のすしの世界を印象付けるツールとして町を彩りました。

今回のWebサイト制作では、制作・運用の観点からWordpressを使用しました。また、写真・コピーライト・デザインはすべて弊社のクリエイティブ専門のスタッフで行いました。制作のスピード感に加え、一つのチームとしてすべての制作物に一貫性を持って取り組むことができるという点は、今回のようなブランド強化のプロモーションにとって大きなメリットであり、強みとなったと感じています。

「岩手宮古 すしの海と町」は、イベント終了後の現在も情報更新を行い「生きたWebサイト」として多くの方々にご覧いただいています。今後も情報更新やビジュアルイメージの刷新を続けながら、いつまでの鮮度の良いWebサイトにしていきたいと考えています。

「岩手宮古 すしの海と町」Webサイト
https://sanrikusushi.com/

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