用紙:コート 90k
寸法:210×594
色数:4c/4c
製本・加工:蛇腹折(5山)※仕上がりサイズ210×99・12P
リクエスト
宮古市の中心部に位置し、新鮮な魚介や地域で採れた野菜が集まる商業施設「魚菜市場」のパンフレットのリニューアルを、ご依頼いただきました。
長くお使いになってきた既存のパンフレットは、場内案内やテナント紹介を中心とし、魚菜市場に来場したお客様向けの内容となっていました。しかし実際の活用では、場内で手渡す機会は少なく、パンフレットの狙いや役割を絞り込めていないという課題がありました。
そこで、魚菜市場のことを知らない、あるいは訪れる前の方が、魚菜市場の特徴や楽しみ方を伝えるものにしたいという意見をいただきました。また、三陸漁場の豊かさを伝えたいとの理由から、宮古で旬の魚をカレンダー的に紹介したいというリクエストがありました。
クリエイティブの視点
パンフレットの企画を進めるにあたり、まずは近隣の商業施設や観光案内所といった配布先を想定し、そこから読み手のターゲットを絞り込んでいきました。
そのうえで議論になったのが当然ですが「魚菜市場の一番の魅力とは何か」というキーとなる部分です。振り返ってみると、この議論によって導き出された「三陸漁場に最も近い市場」というキーワードが企画の骨格となったように思います。「三陸漁場を食卓へ」というキャッチコピーもここから生まれたものです。
さて、その内容ですが表面では、「魚菜市場の歩き方」として、初めて訪れる人でも楽しめるように、お買い物のおすすめ時間帯や旬の魚種などをコミカルに紹介しました。
次に裏面では、漁場至近の市場を謳うため、水揚げから調理、食卓へという流れを簡潔に紹介し、鮮度の良さをそのままお持ち帰りいただくというイメージを表現しました。
また紙面の各所に、実際に市場で働くお魚屋さんの人々の姿を配置し、訪れる人々に親しみを感じてもらえるようなビジュアルイメージで遊んでみました。これらの写真は、市場にスタジオセットを持ち込んで撮影しましたが、お魚屋さんたちはノリノリでカメラの前に立ってくれました。実は、こういう撮影でクライアントと協働関係を作っていくこともわたしたちの狙いだったりします。
最後に、表紙の写真は、海の中でいろんな種類の魚が群れになって泳ぐ姿を表現するために、1尾づつ撮影し、合成したものです。そう書くと簡単ですが、「今まさに泳いでいる」という演出をするために水揚げされたばかりの魚を市場で受け取り、それをスタジオで撮影するという行為を1年間続けました。
ちょっとやりすぎたかなという撮影でしたが、地元の企業だからできるイメージになったのではと感じています。何より、こうして美しい魚たちが泳ぐ表紙を眺めると、地元の三陸の海の豊かさを改めて感じて、ちょっといい気持ちになったりしています。